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もしもで慌てないためのビバーク術

ビバーク術 健康ブーム、富士山の世界遺産登録などの影響で右肩上がりの登山人気。とくに中高年を中心に、登山を趣味とする人は増えているようです。しかし同時に増えているのが、軽装備で登山にいどんで遭難したり、滑落したりといった山岳事故。まだ生還できればいいのですが、実際命を落としているケースも少なくありません。しかも事故にあう多くが中高年の登山客なのだとか。

そのため今登山を趣味にしている中高年のあなたも、次に登る山で遭難する可能性がゼロとは限りません。思わぬ悪天候に見舞われたり、足をくじいたり疲れたりで身動きが取れなくなってしまうかもしれないのです。そこで自分には関係ないと思わず、もしものためにビバーク術をおさえておきましょう。

基本のビバーク術

ビバークを行うためには、ツェルトと呼ばれる簡易テントを使用します。とはいってもテントとは名ばかりな、ペラペラの薄いナイロンシートです。ただこれひとつあれば、ビバークのときの体温の低下や体力の消耗を最小限に抑えることができます。

そして悪天候やケガなどで身動きがとれなくなったときは、このツェルトを布団のように頭からすっぽりかぶるのが基本。本来はポールを使ってテントのように組み立てるのですが、実際ビバークするときはそんな余裕はありません。ザックを置き、そのうえに座ってツェルトを頭からかぶり、あまった生地は足元にたくし込んではためかないようにしましょう。また余裕があれば、そのなかで折り畳み傘を広げると空間ができ、すごしやすくなります。冬山ならばろうそくをつけると、体温の低下を多少緩和できるでしょう。

冬山ならではのビバーク術

緊急事態に遭遇し、ビバークする場合いちばん危険なのは冬山です。なんといっても気温が低いうえ、周囲は雪だらけ。体温の低下も夏山と比べればかなり早く、少しの判断ミスが命を危険にさらすことになるため冬山登山をする人は、しっかりビバークの知識を持っておきたいものですね。

・雪洞
簡単にいえば、雪の洞穴です。これは自然にできているものを使う場合もあれば、積雪が2.5メートル以上なら自分で掘ってつくることもできます。ただ自分で掘る場合、そこそこの体力が必要になるため疲労や病気の悪化といったものが原因でビバークするときはあまりおすすめできません。

雪洞でビバークする場合も、ツェルトがあるととても重宝します。雪洞を堀り、そのなかにツェルトをはるとかなり快適にすごせるはず。余裕がなければ先ほど紹介したように、頭からすっぽりかぶる方法でも構いません。また冷たい風が入り込んでしまうときは、入り口のところに雪のブロックを作ると風の流れが変わり、直接冷たい風が体に当たらなくなります。完全にふさいでしまうと酸欠になってしまうので、少しだけ隙間をあけるのを忘れないでください。

・イグルー
日本でいうところの「かまくら」ですね。積雪が比較的少なく、近くに避難できるような場所もないときに使われる方法です。ただひとりでかまくらを作るのは、相当な体力を必要とします。ある程度の人数がいないとかなりの時間と体力がいるため、途中で力尽きてしまう危険も。逆に大人数のときは全員が入れて風を避けることができる、比較的安心できるビバークの方法です。

イグルーを大人数で作るなら、全員のザックをまとめてシートをかぶせ、そのうえに雪をどんどん盛っていきます。雪の厚みが薄いとくずれてしまうので、広い範囲にたくさん雪を盛りましょう。盛れたら出入り口となる横穴を堀ってザックを取り出し、内側の雪を固めていきます。これで完成です。誰かがツェルトを持っていれば、そのなかで使えばより安心ですね。どの季節、方法でビバークするにしてもツェルトは必需品です。

ビバークなんて、冬山を登る人だけの話。もしくは高山に登るような、一部の人だけのものだと思っている登山者も多いはずです。しかしどんなに低い山でも滑落やケガ、病気の悪化に日没などによってビバークを余儀なくされることがあります。もしそのような事態になったときに後悔しないためにも、ぜひ一度低い山でもビバークを予習しておくのがおすすめです。自分が持っているツェルトの使い方などを知るためにも重要なことですよ。